「江戸しぐさ」は常に相手に対する尊敬の念を忘れず、一言ひとこと、気配りのある表現をすることがたしなみとされました。
すみませんは「澄みません」と書きます。目の前の人を仏と考え、澄んだ気持ちになれなかったと詫びる言葉です。商人は「せっかく、お越しいただいたのにお気に入りの品物がなくてあいすみません」とお客様にお詫びをしました。
板橋を出たときは「いたばし」、板橋に入ったときは「いたはし」と遣いわけていた町人たちがいたそうです。江戸の人々が極力、濁音を避けたのも、この「澄む」ことに対するこだわりからきているようです。