江戸しぐさとは

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江戸しぐさとは

国立国会図書館蔵

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江戸時代は、260年以上もの間、経済の繁栄と戦争のない平和がもたらされた時代です。

そこには江戸商人のリーダーたちが築き上げた、よりよく生きるルールのようなものがありました。

その基本は思いやりの心(惻隠の情)を持って、みんなが仲良く、平和の下で共に生きるために争い事を少なくし、人に対する言葉遣いやしぐさにも気を配るというものです。

次第に江戸の町に住む人たちにも浸透していったと言われています。

そのような日本の心、特に江戸ならではの心映えが、後に芝三光師(江戸時代から6代にわたって続いた家系。曽祖父、祖父が江戸の講の講師)によって「江戸しぐさ」と名付けられ、芝師に師事した越川禮子氏が「江戸しぐさ」の語り部として今に伝承してきました。

江戸しぐさ Q&A

江戸しぐさとは何ですか、また江戸時代にあったのですか。

江戸時代には「繁盛しぐさ」と呼ばれていました。昭和になり、芝三光氏が「江戸しぐさ」と命名しました。

江戸では江戸城が造られると同時に、武家屋敷や町家造りがなされました。参勤交代で江戸に住む武士たちも多くなり、江戸城下の町は拡大され、人口が増加しました。

大阪、京都、伊勢、近江、河内、上信越や関東各地より多くの商人が来ましたが、商いの習慣や生活文化の違いから争いごとが多く起こりました。

そこで、町名主や町衆(将軍家の御用達の商人など)たちが、平和で住みやすく、町が発展し栄えるための「手立て」を講じました。当時はこれを「繁盛しぐさ」と呼び、それぞれのしぐさに名前をつけて、子どもや孫に教え伝えました。

元禄、文化、文政と時代が進み、繁盛しぐさの内容は町民の生活や子育てなど多方面へ広がり、それぞれのしぐさも精選されました。そのしぐさのかっこよさが民衆に気に入られ、真似をする人が増え、生活の中でしぐさを繰り返しすることで、とっさに出るくせのようになりました。

町人には書き物が許されなかったために、繁盛しぐさは口伝えで伝えられ、江戸から明治・大正・昭和の時代へと伝承されました。昭和に入り、江戸最後の繁盛しぐさの講師を祖父に持った芝三光氏が繁盛しぐさを整理しまとめ、「江戸しぐさ」と命名し、越川禮子氏に語り継ぎました。

越川禮子氏は、口伝えとして語り伝承された「江戸しぐさ」を文章として残しました。

江戸しぐさは大人のしぐさですか、子供のしぐさですか。

江戸しぐさは子どもの「いきの祝い」や「お目見えしぐさ」から、大人、お年寄りしぐさまで多岐に渡ります。

江戸時代、子供が六才頃になると裏長屋から出て、町の寺子屋(手習い所)に通います。往来(現在の道路や路地)を歩くときに町の人たちの迷惑にならないように、「七三歩きのしぐさ」、「傘かしげ」、「こぶし腰浮かせ」、「韋駄天しぐさ」、「うかつ謝り」などの往来しぐさを「お目見えしぐさ」と言って身に付けさせました。また、周りの人たちの失礼にならないように、「ちょうな言葉」、「刺し言葉」などを言ってはいけない言葉として戒めていました。

「年代しぐさ」や「耳順しぐさ」、「年よりしぐさ」、「失せ物しぐさ」などお年寄りの心得についてのしぐさも有り、江戸しぐさは、「銭湯つきあい」、「互角のつきあい」などのお付き合いについてのことや、「もったい大事」、「陽にとらえる」、「お福分け」などの生活面、「三つ心、六つしつけ、九つ言葉、十二文、理十五で末決まる」の子育ての仕方など、子どもから大人、お年寄りに関したもので、内容は豊富で多方面に渡っています。

江戸しぐさの良いところは何ですか。現代でも通用しますか。

江戸しぐさは争いのない平和な町を願って考えられ、そのしぐさや考え方は現在の生活に大切なものと思います。

江戸しぐさは、その人の思いや考えが「しぐさ」として表現されるということで「心の在り方」を大切にしたようです。「あい、澄みません」、『板橋を出るときは「いたばし」、入る時は「いたはし」』と言って心が濁ることを嫌いました。また、争いをしない平和な生活を送るための「往来しぐさ」や相手を尊重し、思いやり(惻隠の情)、助け合い、共生、相互扶助の精神の「心」を大切した「しぐさ」や「言葉遣い」が考えられ実践されました。

これらの「先人」の実践していた「心の在り方」や「しぐさ」は、いじめや争いが多発している現代の私たちの生活にとって大切でかつ必要なものと考えています。

江戸しぐさについての書籍が多くありますが、お勧めを教えて下さい。

江戸しぐさに関する書籍は、いろいろな出版社から数多く出されております。「身につけたい江戸しぐさ」、「子どもが育つ江戸しぐさ」、「思いやりの心江戸しぐさ」などがありますが、「江戸の繁盛しぐさ」(日経ビジネス文庫)は越川禮子氏の江戸しぐさとの出会い、芝三光氏とのかかわりについて詳しく記載され、江戸しぐさの生い立ちやそれぞれの「しぐさ」の特徴や内容が分かるので、入門書のような感覚でお読みいただければよいと思います。

NPO法人江戸しぐさはどのような活動をしていますか。

「子どもたちに伝えたい日本の心」をスローガンにかかげ団体・企業等への講演講座、主催講演会・研修会の開催、カレンダー・小冊子の制作販売などの普及啓蒙活動や、コンクール・公立小中学校への無償講演などの社会貢献活動を行っています。

江戸しぐさの話をする講師のような人はいますか。また、講師になるためにはどのような資格が必要ですか。

江戸しぐさの正しい伝承普及活動を行うために当法人が認定する普及員が講演いたします。

認定普及員になるためには、正会員になり普及員養成講座を受講し理事会で承認を得ることが必要です。

江戸しぐさの講演や講話の費用はどのくらいですか。

基本的には講演料金を3万円と定めていますが、時間、人数、会場等の規模により相談させていただきます。尚、公立の小中学校へは無償講演を行っています。

どうすれば入会できますか。入会についての制限等がありますか。

当法人の趣旨及び活動に共感・賛同し応援ご協力いただける方なら入会出来ます。入会については、特に条件は定めていません。会員は正会員、賛助会員(個人・法人)があります。詳しくは入会の手続きをご覧下さい。

江戸しぐさの名称を使っている団体や会講演がありますが、関連はありますか。

当法人との関連はありません。

江戸しぐさの内容を講演や書籍等で勝手に使っても良いのでしょうか。

「江戸しぐさ」は当法人の商標登録です。当法人の承諾なく勝手に使用することは出来ません。

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