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その38 「おあいにく目つき」

江戸の商人は自分の仕事へのありようを
「商いは飽きない」
「春夏冬、ますます繁昌」
などといって、戒めた。

お店を張っている以上、
お客様が来てくださってこそ、
お客様の気持ちをそらさないことが
何よりも大事と思っていた。

イメージ常連客だろうが、一見客だろうが
大切にした。
その表れが最初の一言、
「いらっしゃいませ」に凝縮した。

いやいや、言葉だけではない。
お求めの商品がなければ
おあいにくさまで。目でサインを出した。
これが「おあいにくめつき」。
そのうえで、
「いついつなら入荷します」
あるいは
「お取り寄せします、どの程度、お待ちいただけますか」
と続ける。

この気配り、率直さがあってこそ
お客様はあきらめもつく。

でも、本当に、お急ぎであったとしたら
もう一歩踏み込んで、
特急で商品を仕入れ、ご自宅まで届けたい。
海外へ出張する前日、某百貨店がしてくれた。
私がべたべたの贔屓になったのはいうまでもない。

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