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その35 「椋鳥」

イメージ椋鳥は群れる習性がある。
空を覆うがごとく大群で押し寄せ、
しばらくすると、どこかへ、さあっと消えていく。
椋鳥には気の毒だが、
江戸っ子は、この習性をとらえて粋じゃないと自戒した。

江戸は徳川幕府ができてから急速に開けた。
1635年、参勤交代制度の発足が契機になった。
藩主は原則、1年交代で江戸と国元を行き来する。
奥方や子供たちは事実上の人質で江戸にいる。
巨大な消費都市が生まれたわけだから
ビジネスチャンスを求めて各地から人が集まった。

差しさわりがあるから地名は言わない。
江戸近郊から農閑期になると
わっと押し寄せてくる。
逆に農繁期になると
あっという間にいなくなる。
そんな人々がけっこういた。
暮らし向きを考えれば、それもありうる話である。

でも、この椋鳥とあえて名づけた意味がある。
儲かりそうだとわっと寄ってくる、
うまくいきそうにないと知らん顔して去っていく、
そんな行動を
ちょっと、ご都合主義ではありませんか、といったのだ。

どうですか。会社の中でも、その類の人がいませんか。
うまくいきそうなプロジェクトには顔を突っ込む。
難しそうだと、身を引いて、だから言っただろう。
逃げ回った末にプロジェクトが成功すると、
のこのこ出てきて、自分も功労者面をする。
いやですね。こんな椋鳥。

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