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その18 「禁句」

イメージ映画『男はつらいよ』。
渥美清扮するフーテンの寅こと柴又の寅さんの
名セリフがある。
「それを言っちゃあ おしまいよ」

人間だれしも立場があるから
本音と建前の間を
行ったり来たりしている。

たとえば
儲け話には違いないが
自分が育ててもらった本家筋に
差しさわりがあるから
引き受けるのをやめる。
これはわかる。
逆に、本家筋を無視、引き受けたら
筋が通らない。

もっと厄介なのは人間関係が揺らいでいるとき。
誰それがあなたのことを悪く言っていた、
だから、自分もそう判断する、
となると、最悪である。
自分の言葉で語れない弱さだろう。
それでは修復のチャンスは得にくくなってしまう。

寅さんのセリフが心に残るのはそこである。
「それを言っちゃあ おしまいよ」
江戸しぐさでいう禁句をうまく表現している。

男と女の別れ際も難しいようだ。
言っていいセリフと絶対言ってはいけないセリフが
あるらしい。
いつ、よりが戻るか、わからないからだ。

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