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その4 「仁王しぐさ」

朝のラッシュ時、地下鉄に乗り込んだ。
すると左から肘鉄が飛んできた。
もろに横腹に入った。
オイオイ、ナニヲスルンダ、と見てみると、、、

なんと、30歳前後のOL風の女性である。
「君、いい加減にしたまえ」と小声で言うと
「ぶつかってきたのはそちらでしょ」ときた。
明らかに意図的である。
後ろから押されて、ぶつかりそうになったのは事実。
が、かろうじてぶつかってはいない。

毎朝、似たような場面に遭遇、
よし今日は、と覚悟を決めていたのかも知れない。
「ぶつかってきたのは、、、」のセリフを吐くとき
顔がひどくゆがんで見えた。
ああ、お化粧がだいなしですよ、と言いたくなった。

地下鉄や山手線に乗って不愉快な思いをする事が多い。
肘鉄の女もかわいくないが、
立ちんぼうをして入り口をふさぐ、
つり革に傘をぶら下げて通さない、
混んでいるときにわざわざ腕組み、
背中のバッグが周りを痛い目に、
みんないただけない。

イメージ本来の仁王様は御仏を守るためにいる。
筋骨たくましく、怖い形相をしているのも仕方ない。
しかし、江戸の町人同士は
敵か味方かなどと、いがみ合わずに円満に、、、
そんなゆかしい思いを大切にした。
そう、仁王しぐさはご法度だった。

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