活動報告

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コレド日本橋塾第1回――仕事と江戸しぐさ
2月20日、はなさんと越川理事長のトークショー満席に
20代、30代の女性約130人が集まる(2010.02.25)

イメージステップアップを狙う女性たちは、「江戸しぐさ」をどのように活用したらよいか――こんな狙いから2月20日午後、東京・日本橋の早稲田大学キャンパスホールで「コレド日本橋塾第1回――仕事と江戸しぐさ」が開かれました。

講師は若い女性たちに人気のあるマルチタレント、はなさんと江戸しぐさの語りべでNPO法人江戸しぐさ理事長の越川禮子さんのお二人。参加者は抽選の結果、約4倍の難関を突破した131人。立ち見が出ました。約2時間のトークショーの後、別会場で本のサイン会と握手会も開かれ、盛り上がりました。

このイベントは、江戸しぐさが生まれた日本橋地域の持つさまざまな魅力を若い女性たちに実感してもらおうと、日本経済新聞クロスメディア営業局が主催、三井不動産とコレド日本橋が協賛して行ったもの。日経の若い女性読者の集まり、クラブニッキーとNPO法人江戸しぐさが企画・運営面で協力しました。

イベントは3部構成。日経CNBCの曽根純恵キャスターが総合司会を務めました。

第1部 市場調査会社起業から江戸しぐさに出会うまで――越川

イメージ幕開けは越川さんの講演です。

「19歳で医者と結婚、35歳で3人の子育てが終わり、今度は一人の女性として何ができるか考えた」「まず、社会を知る手始めに事業保険のセールスを手掛けた」「40歳で女性だけの市場調査会社インテリジェンス・サービスを設立した」「あるとき高齢化社会の到来に備える重要性に気がつきアメリカで取材したことをまとめたら『潮賞』奨励賞を受賞した。審査員は筑紫哲也、本田靖春さんらだった」

こんな略歴を淡々と語った後、江戸しぐさとの出会いに。
「偶然、新聞のコラムに、『江戸しぐさ』について書いてあるのを見つけた。八方手を尽くし、江戸講をやっていて、その後、師匠になる芝三光さんに会った」「一生懸命、話を聞きに伺って、その聞き書きを日本経済新聞から『江戸の繁盛しぐさ』として出版した。1992年12月のことだった」「それ以来、江戸しぐさの普及に努めてきたが、07年秋、NPOをつくった。昨年末に副理事長と共著で『人づくりと江戸しぐさ おもしろ義塾』をMOKU出版から出した」

そして、江戸しぐさそのものについては。
「一言でいえば江戸っ子のセンス。豪商たちが商売繁盛を願って、日頃、『目つき』『表情』『ものの言い方』『身のこなし』に気を配り、よい癖として身に付けたもの、といっていい。心構えが先にあって行動があるから、しぐさは漢字で書くと、思う草、思草……」

次いで、越川さん、「よい機会だから傘かしげを実際に体験してみませんか」。会場からお二人が登壇、ビニール傘で雨の中をすれ違うシーンを演じてくれました。何回か行ったり来たりしてもらった後、「ここで止めてください」。ちょうどすれ違う傘がハの字型に見えるポイントでした。
「傘かしげという言葉は知らなくても、雨の日は相手の方にしぶきをかけぬように、傘はハの字型にと言われた人は多いはず」。なるほどと、うなずく皆さん。この後、傘かしげを演じてくださった方から握手を求められた越川さん、嬉しそうでした。

日本橋に縁が深い――はな

はなさんの登場です。越川さんはちょっとお休み。

司会者からの質問に答える形でプロフィールが浮かび上がります。
「祖父の代から日本橋室町で商店経営をしているので日本橋に縁が深い。母方の祖母が横浜中華街に縁がある。そのせいで、高菜豚そばが大好き」「インターナショナルスクールに通っている時、夏休みが3カ月もあったので従兄弟の紹介で雑誌のモデルに」「テレビやラジオの仕事もしている。特にJ―WAVEでは東京の街を散歩する番組を7年間やっているので、街には詳しい」

「学生のころから東洋美術に関心があった。数年前、『ちいさいぶつぞう おおきいぶつぞう』という本を幻冬舎文庫から出した。昔からお菓子作りと仏像が趣味と言っていたが、最近、ようやく仏像好きも話題にしてもらえるようになった。その時その時の気分で仏像は笑ってくれたり、励ましてくれたりする」

ここで司会者が「素敵なおばあちゃんになりたいそうで……」と水を向けると、
「越川先生のお話を聞いていると家庭を持っている一方で、ご自身の世界があって、いいなと思った。まだ、年齢も経験も半分以下だが、あこがれを感じる。仕事に打ち込みすぎてバランスを取るのが難しいけれど、努力したい」

第3部 仕事と江戸しぐさ――トーク

イメージ

こんどは対談です。司会者より先に、口火を切ったのは越川さん。

越川
「タレントとして想像していた人と全然違う。感じのいい方ね」
はな
「(恐縮しながら)これをご縁に末永く、お願いします」
司会
「それでは、江戸しぐさについておさらいしてください」
越川
「江戸しぐさは江戸の町方のエリートがつくって継承してきたお付き合いの心得。フランス語でいう本来のエリートは神に愛されたものでしょ。日本語でいう仕事のエリートと違うのよ。だからみんなへの思いやりの気持ちを大切にした。はなさんはフランス語がお上手だからお分かりでしょ」
はな
「確かに」
司会
「越川さん、江戸しぐさは江戸っ子のセンスと言われたが、江戸っ子の条件は?」
越川
「まず、『約束を守る』。指切りげんまんって言うでしょ、あれ。子供のころから約束を守ることを大事にしている。『時間を守る』、時泥棒は10両の罪と言って死罪になるほど。『結界覚え』。これは餅は餅屋とも言って、相手の専門性を尊敬する。自分も何かそういうものを持つ。『その人のしぐさを見て決めよ』。自分の目で確かめるということ。結婚しようと思う相手なら、当然です。商売もそうだった。『尊異論』。これは自分と違う意見でも尊重する」
司会
「江戸の子育ては独特でした」
越川
「三つ心、六つ躾、九つ言葉、十二文、理十五で末決まる。九州大学の井口先生がおっしゃっている。生きる力を身につけるために、年齢に合わせ、目標を決めて大事に育てました」
はな
「小学校の先生に言われたことがあります。女の子も社会に出たら税金を納めるんだと。生きる力って大事ですね」
司会
「2011年度から新学習指導要領が導入されて『生きる力』がキーワードになるそうですね。離縁状の代名詞、三行半(みくだりはん)は女性からも要求出来たとか」
越川
「あれは再婚許可証なんです。だから持てる女性は始めから三行半を要求したんですね。江戸の女は強かったんです」
司会
「江戸の商家は女次第というのは……」
越川
「聡明な女は料理がうまい、という本が売れたことがあります。商店でお店を取り仕切るのは女あるじです。だから、女次第という。
傘森おせんというお茶屋の売り子さんの話がよく出ますが、たいへん客あしらいが上手だった。逆上しない。ソプラノにならない、アルトの声だったそうです。
また、相槌が絶品だったそうですよ。相手を立てて、話をよく聞く聞き上手。言葉づかいもため口は使わない。立場は互角だけれども謙虚に受け答えをする。女性の身だしなみに色々心配りをした。
言ってみれば、ハードで勝負をせずに、ソフトで勝負をしたんですね。
皆さん、女性はね、おじいちゃんやおじさんになってほしくない。顔は造作じゃない、大事なのは表情なのね。今のお仕事でも同じよ」
司会
「江戸のキャリアウーマンというとどんな仕事がありますか」
越川
「髪結いの亭主というでしょ。髪結いの女性は腕のいい大工と収入がほぼ同じだったそうです。これが代表例でしょう。大奥にはお局もいましたね。祐筆もそうですね。今でいえば秘書。字も上手だし、頭の回転も速かった」
司会
「粋と野暮とよく言います。この違いは?」
越川
「上方にあった粋は、もともとは'すい'と読んだようです。江戸はなぜ'いき'というか。生きる、あるいは意気なんですね。上方に対抗する気持ちがあった。これは武家社会に対する町人の対抗意識にもつながった。さっぱりしていて、ぐずぐずしていない。その逆が野暮ということでしょう」

二人からのメッセージ

考える大切さを実感―― はな
今秋、江戸しぐさインストラクター養成講座を実現―― 越川

司会
「そろそろ時間が来たようです。会場の皆さんにメッセージをお願いします」
はな
「インターネットの時代、ついつい情報に流されがちです。でも、こうして江戸しぐさのお話をうかがっていると、人間として何ができるか、いろいろ考えている自分がいるかどうか、大切だなあと思いました」
越川
「はなさんが、仏像と対話する楽しさを言っていました。人間としてまさに感性を磨くことが大切だと思います。
先日、タクシーの運転手から聞いた話です。子供が飛び出してきて危うく轢きそうになった。子供は悪いのは自分だから一生懸命謝っている。ところが後から出てきた母親が運転手を叱りつけてきたという。これでは素直な子供は育ちませんね。
江戸しぐさの基本は思いやりですし、心を豊かにするお心肥しにあります。お仕事でも同じことが言えますね。
最後に、もう一つ。今秋をめどに江戸しぐさインストラクター養成講座を始めます。江戸しぐさを広めるためです。皆さん、ぜひ、参加してください」
司会
「ありがとうございました」

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