活動報告

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平成20年度「わたしの『平成しぐさ・ふるさとしぐさ』コンクール」
優秀作品発表記念講演会(2008.10.26)

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10月26日(日)午後、東京・六本木のオリベホールでコンクールの優秀作品発表と記念講演会を開きました。参加者は受賞者を含め約150人、講演、表彰式、座談会と3部に分かれたイベントを皆さんに楽しんでいただきました。今後の「江戸しぐさ」普及に大いに弾みがつくでしょう。

応募作品は385点

今回のコンクールは年明け早々から準備を進め、実際に、企画内容が固まって具体化に動き出したのは5月の連休明けでした。7月10日(木)に東京・日比谷の日本記者クラブで記者発表、9月12日(金)を締切日としました。対象は小学生から社会人まで幅広くしました。特に期待したのが子供たち。夏休みをはさんで、子供たちにいろいろ考えてもらう時間を設けたわけです。

応募作品は平成しぐさ、ふるさとしぐさ両部門合わせて385点ありました。入賞作品は別項で詳しく紹介していますが、全部で44、その内訳は優秀賞6、特別賞8、入選30となっています。なかなか力作ぞろいで、落とすのに忍びないものもたくさんありました。

工夫を凝らした開演前1時間

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記念イベントは遠方からお越しになる方を考慮、受付を実際の開会より1時間はやく午後1時にしました。浮世絵の解説や江戸しぐさを取り上げたテレビ番組などを流し、少しゆとりをもった段取りにしました。

もちろんロビーにもちょっとした工夫をしました。公共広告機構のマナー広告で江戸しぐさを取り上げて今年で7年になる画家、山口晃さんのニューバージョンを初公開したのです。女子高校生が「肩引きしぐさ」を、男子高校生が「傘かしげ」をしている2点です。その絵を囲むようにして記念写真を撮る受賞者たちが結構、いました。

わかりやすかった山本講演

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いよいよ第1部のスタートです。直木賞作家の山本一力さんの「江戸の人情」。直木賞の授賞式の時、ご家族で東京会館へ自転車で乗り付けた逸話があるのですが、この日は地下鉄をご利用でした。日本経済新聞夕刊で得意の深川を舞台にした『おたふく』の連載がはじまったばかり、午前中ぎりぎりまで執筆が続いたと、マネージャー役の英利子夫人の話でした。ご本人によるとテーマは兄弟愛だそうです。

講演は期待にたがわず、濃い内容でした。参加者に小学生や中学生の受賞者がいることを、事前にお伝えしてあったせいかも知れません。高知で育った少年時代の体験を交えながら、持ち前のゆったりとした語り口で、わかりやすく、話をしていただきました。

「江戸の人たちにとって火を熾(おこ)すことは大変な仕事だった」、「日の出から日の入りまでの自然に対応した暮らしぶりがものの考え方に影響を及ぼした」、「法律に書いてあるかないかではなく、モノの道理が判断の基準だった」、「金貨、銀貨、銭という三種類の通貨を併用したので為替の動きに敏感でおのずと経済観念が鍛えられた」「それぞれの家が持っている家紋が信用の象徴だったから家紋に傷をつけないように、互いに精進した」など。

今回の一連のイベント報告書に講演の内容を紹介することについて、ご了解を得ているので、できるだけ早く、内容をこのサイトでもご報告します。

表彰式

そして第2部は優秀作品の発表と表彰式。子供さんたちは父兄同伴も多く、皆もじもじしながらも、こぼれるような笑顔を時折見せてくれました。審査経過については大岩由利事務局長から報告がありました。「しぐさ言葉については、世の中に流布してほしいので、リズム感やわかりやすさを重視した、また作文については着眼点や論旨を重視した」という説明がありました。

実は10月3日(金)に最終審査結果がでたあと、書類の整理などに若干の時間がかかりましたが、翌週末までに、それぞれ入賞した方に事務局から連絡を入れました。イベントを日曜日に設営したのは、みなさんに遠方からでも参加していただきたかったからです。そのためにも第一報をできるだけ早く、お伝えしておく必要がありました。

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会場の前列に座った受賞者たちには発表に応じて舞台に上がっていただきました。小学生から社会人まで、ずらっと並んだだけで、見事な絵になりました。背の低い子供さんが前列に立ち、中学生や大人が後ろに…

越川禮子理事長から表彰状と副賞の授与の後、青木匡光審査委員長、堤江実副委員長から講評があって、進行役の鈴木由利子さんが何人かの受賞者にインタビュー。これもよかったですね。しぐさ言葉を創った動機、短い言葉の中にそのエッセンスがありました。

「地球大切しぐさ」で中学生の部の優秀賞の小林晴香さんは、はにかみながらも「環境を守るには一人一人の意識改革からと思った」ときっぱり。「リュックまえかかえ」で社会人の部の優秀賞に輝いた清水さんは「高尾山によくハイキングで行く体験を文章に」。

落語に集約

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第3部の座談会。これも役者が揃いました。司会は日経CNBCでレギュラー番組を持つなどキャスターとしても司会者としても達者な生島ヒロシさん。パネリストは『頭の体操』のベストセラーを持つ千葉大学名誉教授の多湖輝、落語家の三遊亭竜楽、NPO法人江戸しぐさ理事長の越川禮子さんら。

多湖先生からの「戦後の日本が駄目になったのは、戦争を引き起こした罪を強調するあまり日本の伝統やよき風習が否定され、継承されなかったためだ。江戸しぐさは日本の良さを取り戻すのに有用」という話を受けて、バトンは竜楽師匠へ。

それまでの、硬い話をさらっと変えて、「江戸の大商人たちが生み出した江戸しぐさは落語にずいぶん現れていますね」と生島さん。すると師匠が言うには「その通り。落語では目上の人を必ず立てる。人前で恥をかかせないよう気づかいする場面が多いですね。『百年目』という落語でも、大旦那は失敗をやらかした番頭さんをその場で、叱らず、わざわざ翌朝、人の出入りのない奥座敷に呼び出している」。

「どうです、ここで一席」。会場からはまさかと思いつつ万雷の拍手。「通しでやると55分かかりますから、それでは触りだけ…」と師匠。

それからは万事この調子でした。なにかというと「落語では…」と生島さん。師匠が身振り手振りでポイントを押さえてくれたおかげで、子供から大人まで、笑いの連続でした。

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それだからでしょう。江戸の子育ての秘訣である「三つ心、六つ躾、九つ言葉、十二文、理十五で末決まる」を越川理事長が説明するころには、年齢別に目標管理していた江戸の養育法がすんなり皆さんの頭に入ったようでした。

生島さんが舞台に出る寸前、ちらっと漏らしたせりふ。「台本通りにやると、話が硬くなって60分持たないから勝手にやらせてもらいますよ」。

暖簾分けをしてもらう寸前の番頭さんが、花見に繰り出し、大旦那を鬼と間違えて捕まえてしまう大失敗を扱った『百年目』を真っ先に素材に取り上げることを除いては、すべて生島さんのアドリブとパネリストの皆さんの臨機応変のお話で、あっという間に80分が過ぎたのでした。さすがプロです。みなさん。狙いを理解した上で演じてくれました。

その翌日

当日、マスコミ関係の方が何人か取材に見えていました。ありがたいハプニングがありました。文化放送のラジオ番組で27日からの週で5日間、平成しぐさの募集をするので、口あけの日と最終日に声の出演をしてほしいという依頼が幕間にあったのです。

この番組は「玉川美沙たまなび」で通称たまけん(玉川研究所)、若手のタレントさんが二人で掛け合いをし、プロデューサーの指示で、今、社会で起こっていることを視聴者の協力を得ながら調べてリポートするという構成。今回のテーマは「現代版江戸しぐさ」。電車やエレベーターの中、あるいは携帯電話のマナーなど、コンクールで作品が集中したのもさもありなんでした。

出演時間は正味5分程度のものですが、さまざまなメディアを通じて「江戸しぐさ」が広がっていく様子を、実感した次第です。

最後に、このイベント実施に当たってはスポンサー各社をはじめ様々な方たちのご協力をいただいたことをご報告するとともに、心からお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

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