ごあいさつ

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ごあいさつ

NPO法人江戸しぐさ 理事長 越川 禮子

NPO法人江戸しぐさ 理事長 越川 禮子

このたびは、皆様のお力添えのおかげで、NPO法人江戸しぐさの設立 、発足という慶事に恵まれました。誠にありがたく心から御礼申し上げます。

江戸ゆかりの家に生まれ、曾祖父は江戸寺子屋の師匠、祖父は江戸講の講元をつとめた芝三光先生に教えを請い、利き書きの形で『江戸の繁盛しぐさ』(日本経済新聞社)を出版してから15年がたちました。

亡き師の思いを何とか世の中に広めようと、乞われるままに「江戸しぐさ語りべ」を任じ、全国各地で講演したり、執筆活動を続けてまいりました。近年は時代の流れか、ラジオやテレビに呼んでいただく機会も増えております。

しかし、私にとって、この江戸しぐさ語りべの原点は、ある中学校で講演を終えて、生徒の一人が発した次の言葉に集約できます。

「大人たちは、こんな素晴しい江戸しぐさが日本にあることを、なぜ、教えてくれなかったんだろう」

同様に、アメリカに留学中、どのような経緯か『江戸の繁盛しぐさ』を読んで、感激のあまり国際電話をかけてきた高校生がおりました。やはり、同じことを言っておりました。

江戸しぐさは特に上に立つ人が「仏の前で人は平等である、まず思いやりの心を大事にしろ、そしてくせになるまで美しい立ち居振る舞いを身につけよ」と教えています。(惻隠の情)

子供たちは誠に正直です。「傘かしげ」や「肩引き」など、まず一度はビジュアルというか形から入りますが、その背景にある心遣いを理解したとたん、「気持ちがよくなりました」「お互い笑顔が出るようになりました」。楽しみながら大人になっていくすべを着実に身につけるようになります。

江戸しぐさは教え込むものではありません。自発的にその人の持つ特性を引き出すこと気が付かせることに心を砕いています。

さて、NPO法人を設立することは、この1年ほど、いろいろ検討した結果、煮詰まったものです。
私はまだまだ元気ですが、そろそろ、あまり無理をせず、これから30年も50年も生きる若い方たちに、緩やかな形でバトンタッチをする時期になったという気がしております。優れた後継者を大勢作ることがリーダーの条件の一つだそうです。江戸しぐさでいう教養は、人を育てることで身に付くものだそうでございます。

NPO法人は全国に気配り、目配り、手配りしながら、組織的に、かつ効果的に江戸しぐさを普及していく大切なセンターの役目を果たしていったらよいのではないでしょうか。

流通・サービス業界を例に取れば、本部はブランド・イメージ戦略と研究開発に力を入れ、加盟店は地元の事情を勘案しながら上手に現場対応を図っています。

江戸時代の幕藩体制もそうでした。江戸幕府の下、各藩は独自の知恵をふりしぼり、競い合っておりました。すでに博多や新潟にはNPOの支部をという要請もあります。

実際に組織ができると、また、思わぬ障害や問題が起こってくることと存じます。しかし、NPO法人ができたからといって、結果を出すために、あまりあせらないほうがよいと思います。

じっくりと腰を落ち着けて、皆様、心をひとつにして、ひとつずつ解決しながら、「江戸しぐさ」の普及と時代の変化に対応した人の道「いましぐさ」の研究に力を尽くしてまいりましょう。

ありがとうございました。

※会員の方には「会報・創刊号(H19年10月20日発行)」を差し上げています。

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